糖類や炭水化物で炎症が悪化する原因は高血糖ではなく菌交代と免疫

猫も杓子も糖質制限な現代だけど、血糖値が悪者なケースばかりじゃなく、そもそも糖が免疫にダイレクトアタックすることが炎症の引き金になっていたりする。

糖質とは言っても一言で表せないくらいたくさんの種類があり、カテゴリは大きく4つに分かれる。

  1. 単糖類
  2. 二糖類
  3. 少糖類
  4. 多糖類

ここからさらに細かく分かれていく。

同じカテゴリに属していても、化学構造によって体への影響が全然ちがったりする。

食べ物が、どれくらい血糖値を上げやすいかの指数で『グリセミック・インデックス値(GI値)』という指標があり、ダイエットやボディビル、フィジーク、食事療法など幅広く使われてるけど、過信したり鵜呑みにしちゃダメ。

どんな食材にどんな糖類が何が含まれていて、その割合はいくらか───ぜんぶを挙げ出すと一生かかるレベルで情報過多なので、この記事では炎症が悪化する糖質と、その仕組みについてカンタンに書き残す。

まず最初に流れだけ書くと、

糖質で炎症が起こって悪化する6段階

  1. 単糖類を食べて免疫を抑制する
  2. 菌交代と日和見感染を起こす
  3. 炎症を起こす&耐糖能障害になる
  4. 多糖類を食べて免疫を賦活する
  5. 炎症が悪化する
  6. 以下、無限ループ

この流れは「完全動物食」にすることで断つことができるけど、誰もができる芸当じゃないので、この記事のいちばん最後に「炎症を起こしにくい糖類」をくわしく紹介する。

    炎症を起こしにくく悪化させにくい糖類

    • もち米
    • イソマルトオリゴ糖
    • ワキシーコーン

    単糖類が免疫を抑制する

    単糖類(果糖とブドウ糖)を摂取すると、免疫がすごく抑制される。(※腸が不健康な人ほど)

    すると菌交代現象というものが起きて、ヒトの体内にいる共生微生物のバランスが変わり、感染してしまう日和見感染という状態になり、エンドトキシンによる炎症、または抗体抗原反応として免疫が働き、排除するために炎症が起きる。

    共生微生物が免疫を担う

    僕ら人間の体には、共生微生物というものがいる。

    • 細菌
    • 真菌
    • ウイルス

    その総数、1000種類100兆匹とも微生物学や免疫学の分野では言われてる。

    ヒトの細胞が60兆個だから、僕らが宿主なのか、微生物に生かされてるのかわからなくなるくらいの数。

    この膨大な量の共生微生物は、その大半が腸内にいる。

    その腸の中にいる共生微生物が、ヒト免疫の半分以上とも言えるくらい大半を担ってる。

    共生微生物のバランスが崩れる=免疫が崩れる

    腸内微生物によってヒト免疫が恒常性を維持してるから、共生微生物を殺したり、バランスを変えたりすると、免疫が働かなくなってしまったり(抑制)、逆に働きすぎたり(賦活)する。

    共生微生物を殺したりバランスを変えるものワースト5

    1. 単糖類(果糖 > ブドウ糖)
    2. 界面活性成分(乳化剤:レシチン、サポニン)
    3. 植物ホルモン(アルカロイド、フェノール、アルデヒド)
    4. 抗真菌剤
    5. 抗生物質

    影響の強さは、腸の健康状態に大きく左右される。腸が薄くなるリーキーガット状態だと、上のワースト5の影響はさらに強くなる。

    共生微生物のバランスを壊すと菌交代現象と日和見感染が起きる

    共生微生物は、胎内から産まれる時に獲得免疫として継承される、とても貴重で繊細なもの。

    抗生物質を使うと共生微生物のうち、細菌が死んでしまい、真菌とウイルスは生き残る。

    もともと真菌は共生微生物の0.1%程度を占めてて、均衡を保ってる。だから、細菌が死んで少しでも真菌が増えると、真菌症やウイルス感染症になって炎症が起こる可能性が増大してしまう。

    真菌症とは

    アスペルギルス症、マラセチア症、カンジダ症などのこと。脂漏性湿疹、毛包炎、膣炎などが有名。真菌は、体内に共生菌として存在し、免疫力が落ちて感染すると、粘膜や皮膚がただれたり、はがれたりする。浅在性と深在性がある。

    ウイルス感染症とは

    風邪、インフルエンザ、はしか、コロナ、水ぼうそう、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症、子宮頸がん、疣贅、コンジローマ、HIVなど。ウイルスによって症状は様々だけど、免疫力が落ちると感染しやすくなるのは菌と同じ。

    多糖類が炎症を悪化させる

    糖類の分子量が多いほど免疫が賦活する

    あらゆるものには「分子量」というものがあって、質量をグラム単位で表した数値が決まってる。堅固なものは分子量が高く、脆弱なものは低い傾向にある。

    液体で言えば、油が約200、水が約18。

    水が通り抜けられるフィルタでも、油は通り抜けられない───といった具合。

    これを糖類に置き換えると次のようになる。

    • 単糖類:約180
    • 二糖類:約350
    • 少糖類:~約3000
    • 多糖類:~600万とも1億とも

    糖の分子量が少なければ免疫を抑制し、多ければ賦活する。

    分子量が少ない糖→免疫を抑制
    分子量が多い糖→免疫を賦活

    ▼参考文献
    多糖類および二糖類の単糖当量への換算係数について(案) 文部科学省
    デンプンの分子構造と性質の基礎 東京農業大学応用生物科学部食品安全健康学科 教授 阿久澤 さゆり

    糖鎖構造が直鎖状の糖類は免疫をより賦活する

    炭水化物はブドウ糖がいくつも繋がったもので、そのブドウ糖の繋がり方を「糖鎖構造」と言い、

    • 直鎖状
    • 分岐鎖状(房状、扇状とも

    の2タイプにわかれる。

    糖鎖構造の例 引用元:糖鎖工学研究所より

    糖鎖構造が直鎖状を持つ糖類

    ※以下、編集中※

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